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梅雨の中で

ゴゴー
強いスコールのような雨が窓を叩く。
何度も布団に包まるがその激しい音は止まない。
ゴールデンウィークの温かさにてっきりもう夏だと思っていた。
一入ため息が漏れる。
そういえば日本一周の旅をしているとき、屋根を叩く雨音で何度も起きたことがあった。
路上に出れない紋々とした車内の中、窓から除く濡れた木々の葉を眺めていた。
ここを超えれば突き抜けれる…
自分に言い聞かせたあの頃。日々体調と気持ちが変化する旅の中でいじめ撲滅という一つの目標が何度も限界を超えさせてくれた。
もう2年前か…
布団から出てコーヒー用のお湯を沸かす。
最近は平和なものだ。
つくづく思う。
寝る空間や食べ物、さらに同じ毎日が繰り返される。
家族を持ち命を育てる人々にとっては最高なんだろうが、この生きるも死ぬもない喜怒哀楽の幅が狭いルーティーンは私には退屈だ。いっそのことダンボール生活にもなって地面から世の中を見上げていたほうがよりエキサイティングじゃないかとも思う。
30歳を超え同世代の仲間は結婚し子供を生み同じテンションの人が少なくなった。
このギャップはこの先どんどん増して行くんだろうな。
最近同じ高校生だった女友達に連絡するとなんだか育児で忙しそうだった。当たり前か。
聞くとまだ2才児なのにやれ英才教育ややれ右脳教育ややれマクラーレンの乳母車だとか…親のマスコットのように、着せ替え人形みたいに育てていた。もちろん一人っ子の男の子。
三つ子の魂なんちゃら…とよく言ったものだがそんな大事な時期ならもっと知力なんかより人間力や生命力を育ててほしいと思って怒鳴って電話を切った。
ただでさえ今の若者は貧弱で草食男子とかいわれ、そんな人々がインターネットで簡単に知識を得て、あたかも自分が経験したかのように錯覚し、自慢げに語っている時代。ほんと中卒で一人でインドでも行って何日もガンジス川で身を清めてきてほしいと願う。百聞は一見になんちゃら…というが経験して初めてその大変さが分かったりその時の気持ちが分かったりし、その体験が感動となって自分の肉となるんだ。
カラスがカーカーと鳴いた。
窓を見る。
雨はちょっと止んだ。
東京アメッシュを見た。
ここ30分の動きに大きな雨雲の動きはない。
よしチャンス。走りに行こう。
僕は心まで湿気ないように部屋を飛び出していった。
そして10分後、ビチョビチョになって戻ってきた。
 雨降って地なんちゃら…

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