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2024年3月17日 能登半島地震被災地へ04

寒さが残る3月午前の奥能登、輪島。

三井小学校正門玄関前特設ステージは多くの人々によって囲まれていた。

卒業生や保護者の方々をはじめ先生方や関係者の皆様が手拍子を送りながら僕を待ってくれていた。

まずは皆様へ向けて深く一礼をした。

この震災で無事卒業式を迎えることができておめでとうという気持ちとこのセレモニーに呼んでくれた感謝の気持ち、そして音響の不具合によりお待たせして申し訳なかった気持ちとが混ざり合った一礼だった。

一曲目は新曲「welcome to MUSIC」と決めていた。

この約2か月半の被災生活、老若男女問わず皆生きるために必死だったことだろう。

特に輪島地区は大火災、津波、いまだに水道が通っていない現状があり、心身はもちろんのこと五感も疲弊していることだろう。あたらめて音楽の力でこの茶色と灰色の世界をカラフルに彩ることができたらなという思いがあった。

welcome to MUSIC

立ち止まらないで そのまま

welcome to MUSIC

自分のメロディー 歌うのさ

愛も 孤独も 飲み込んだくやしさも Change to your song!

すべては美しい旋律となって あなただけのプレミアムメロディー

約20分間のステージが終わった。

後ろで見てくれていた年配者の方々も、最後まで手拍子をしてくれた。

終始アットホームな雰囲気に感じたのは、夏祭りで知ってくれていたことだけではなく、僕の両親も奥能登出身でこの細胞ひとつひとつがmade in 奥能登だということもあったように思う。

終わった後、卒業生児童たちが僕に駆け寄ってきてサインを求めてくれた。

「ここに書いてほしいです」

記念品だろうか。一人の卒業生がおろしたてのTシャツを持ってきて、胸の正面に書いてほしいと言うのだ。後で後悔しないだろうかと思ったが、大切にしてよと勢いのまま大きく書いてみせた。それを見た他の卒業生も続くようにTシャツを持ってきた。

片づけをしていると、卒業生たちがまた来てくれた。

なんとみんなが先ほど書いたばかりのサイン入りTシャツに着替えているではないか。

正門特設ステージでみんな並んで一緒に記念写真を撮った。

写真の中の僕たちはこれまでのことをすべて忘れさせてくれるほど眩しい笑顔だった。

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