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フィリピンの渡航から

フィリピンの子供たちは口をそろえて言った。
「なぜ反撃しないんだ」
「やり返せ」
「戦え!」
「やり返せ!」
彼らにはなぜ日本の子供たちがいじめられっぱなしなのかがわからない。
どうして、自殺までしてしまうのかが理解できない。
彼らの言葉を聞きながら僕は自分の中学時代を思い出した。
僕はいじめられていた。
ヤンキーのボスに。
ボスとは幼馴染で、仲が良かった。
登下校はいつも一緒だった。
途中彼の家庭環境が荒れた。
ある日彼は目に青あざを付けていた。
「どうしたん目?」
「階段からこけたんや」
うそだと思った。
日ごとに彼の暴力はひどくなった。
仲間内に力を誇示しようと僕をいじるようになった。
周りからもいじめられた。
腹が立った。煮えくり返すくらい理不尽な扱いに何度も涙流した。
いじめられる側にもプライドがあった。
あの日僕は勇気を出して言った。
「おい、お前あまり調子に乗るなよ」
僕はケンカを売った。
勝ち負けなんて関係ない。
大切なのは逃げるのではなく、勝負することだった。
自分を守るために、自分の正義のために、なぜ勇気を奮わないのか。
勇気とはこんな時のためにあるのじゃないか。
海の向こうから彼らの声が聞こえてくる。

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