夏の夢
Tシャツ、短パン、ビーサン、イェーイ♪
浅瀬のところで打ち寄せる小波に身を任せプチ漂流気分を体験しまたビーチに横たわる。
サングラスは日焼けの跡が残るから今はしないと言ってたのに思いっきりかけながら眠っている。
遠くで聞こえていたビーチバレーの人たちの声がだんだんと大きくなり「すいませんでした~」とか言ってまた遠くなっていく。
どんだけ青いのブルースカイ
どこまで続くのスカイライン
もういいからと言いたくなるくらいのキラキラサンシャインが肌を焦がす。
そろそろイチゴ味のかき氷でも食べながらもう一回海へ行こうか…
また先ほどのビーチバレーの声が近づいてきた。
「すいませ~ん。ボールとってもらっていいですか~?」
誰に言ってるんだろう…
誰に言ってるんだろう…
もしかして…俺?
PM2時21分。東京都杉並区の部屋で私は目覚めた。
完全なドリームだったんだと気づくまでに数分かかった。
台所で顔を洗ったが初めに出てきた水が生温かくてデュルンって感じで目覚めた。
テレビをつける。
「祝!北島選手2連覇達成!挫折と栄光の4年間…」
やっぱりすごいなと彼はと思いながら冷凍庫からパンを取り出しオーブンに入れた。
オレンジをカットしながら先ほどのドリームの余韻を追跡する。
そういえばこの夏海へ行ったっけ…
オレンジをカットしている左手の腕を見てみるがどう見ても小麦色とはほど遠い、かといって白くもなく、なんか近所のコンビニ往復していつしか焼けちゃいました的なミニストップ焼けで嫌になった。
まだ一回も行けてない…
去年の今頃は島根県あたりの日本海で銭湯代わりの海水浴を楽しんでいたことを思い出した。
早いな一年…
テレビは吠える。
「200mは世界新まであと少しでしたね。記録の方は残念でしたが…」
パンにバターを塗りながら人々の期待ってのは恐ろしいなぁとつくづく思った。
金メダルを取っても残念がる。
もうみんなの感覚が麻痺してしまっているのではないのかと思った。
時代は金から金プラスアルファーの時代へ…
欲望ドンストップだな…
怖くなってテレビを消した。
オーディオをつける。
先ほどカットしたオレンジにヨーグルトをかけ、その上からハチミツを垂れ流す。
できた!デザート付モーニングセット。
最近これにハマっている。
♪KEEP ON YOUR DREAM~♪
誰だったかな、この曲…
カントリーのようなサーフミュージックのようなこの曲…
どこまでもやわらかいソフトメロディー♪
でもどこか切ないこの歌が好きだ。
キープオンハッピー♪
パンをかじりながらしばらく音楽に聴き入っていた。
よし!
時計を見る。
PM2時57分。
まだ間に合う。夕方には着くだろう。
最後の一切れを被りつき、私は海へ行く準備をし始めた。
NEXT IS…
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